【薬学部の実態】実務実習は最大の関門!文科省データで見る「実習修了率」と大学選びの重要ポイント(2025年度最新版)

 薬学部への進学を考える受験生や保護者の皆さんにとって、「本当に薬剤師になれるのか?」という点は最も気になる部分です。大学ごとの国家試験合格率が注目されがちですが、実はその前の段階である実務実習(病院実習・薬局実習)が大きな壁となっています。

文部科学省が2025年度に公表した最新データでは、大学ごとの実習修了率や進級状況が明らかになり、大学によって実習の通過率が大きく異なることが分かっています。つまり、実習をきちんと乗り越えられる大学かどうかが、薬剤師になれるかどうかを左右するのです。

この記事では、文科省のデータと大学HPの実習内容を基に、薬学部の実務実習の全体像や、大学選びで重視すべきポイントを分かりやすく解説します。

参考資料:
薬学部における修学状況等(2025年度)
薬学部6年制課程における退学状況等(2025年度)


目次

薬学部の実務実習とは?高校生でも分かる具体的な内容

 薬学部の実務実習は、5年次に行われる病院実習(11週間)薬局実習(11週間)の合計22週間から成り立ちます。薬剤師のリアルな仕事を体験し、臨床現場で必要となる技術・思考力・患者対応力を身につける時間です。

実務実習で学ぶことはたくさんある

  • 調剤業務:処方箋鑑査、疑義照会、調剤過誤の防止など安全管理の基礎。
  • 服薬指導:患者さんへの薬の説明、副作用や飲み合わせの注意点の伝え方。
  • 薬歴管理:薬歴の書き方、処方チェック、治療経過の記録方法。
  • チーム医療:医師・看護師との連携、症例検討への参加。
  • 在宅医療:高齢者宅への訪問同行、地域医療での薬剤師の役割を体験。
  • 薬物療法モニタリング:TDM(治療薬物濃度の測定)や副作用管理。

これらは講義だけでは身につかず、実習を通して初めて実感できる「薬剤師の核心部分」です。

実務実習の前に必ず受ける“薬学共用試験(CBT・OSCE)”とは?

薬学部の5年次で実務実習に進むには、全国共通で実施される薬学共用試験(CBT・OSCE)の合格が絶対条件です。ほとんどの大学で4年次にそれぞれの試験が行われます。

CBT(知識試験)とは?

CBTはコンピュータを使った大規模な試験で、薬学の知識全体から出題されます。

  • 薬がどう作用するか(薬理学)
  • 副作用・相互作用
  • 疾患のメカニズム(病態学)
  • 人体の仕組み(解剖・生理)
  • 化学・物理・計算問題
  • 薬物治療の基本的な考え方

問題数は300〜400問ほどで、暗記ではなく思考力のある理解が求められます。 CBTに合格しなければ実務実習に行けないため、薬学生にとって非常に重要です。

OSCE(実技試験)とは?

OSCEは、実際の医療場面を再現した「実技試験」です。模擬患者が来局し、学生は薬剤師としての対応力を評価されます。

  • 調剤の正確さ:処方箋読み取り、薬袋の作成、鑑査など。
  • 服薬指導:分かりやすく説明できるか、安全に配慮できるか。
  • コミュニケーション力:患者の不安を汲み取れるか。
  • 安全管理:確認を怠らない行動ができるか。
  • 医療人としての態度:挨拶、姿勢、言葉づかいなど。

OSCEは、知識だけでなく患者対応力が問われるため、大学の教育体制によって合格率にも差が出ます。

CBT・OSCE対策がしっかりしている大学 → 共用試験の合格率や実習修了率が高い傾向

文科省データに見る「実習修了率」 ― 教育力の差がそのまま表れる

文科省の2025年度データでは、大学によって実習修了率に大きな差があります。

実習修了率が高い大学の特徴

  • CBT・OSCE対策が充実
  • 実習先の病院・薬局が豊富
  • 実習中のフォロー体制が手厚い
  • 国家試験合格率も高い

実習修了率が低い大学の特徴

  • 実習前の準備不足で再実習が発生しやすい
  • 実習先の確保が不十分
  • 実習中のサポートが弱い
  • 卒業率・国試合格率にも影響が出る

つまり、実習修了率は「薬剤師になれる可能性」を測る一つの指標と言えます。

大学HPで見抜く!「実習に強い薬学部」のチェックポイント

大学のパンフレットだけでは分からない教育力は、HPの「実習ページ」を見ることで分かります。

① 実習の流れが具体的に書かれているか

実習前教育 → CBT/OSCE → 実務実習 → 事後研修 この流れが丁寧に説明されている大学は、教育の透明性が高いです。

② 実習先の病院・薬局が多いか

附属病院だけでなく、地域の中核病院・薬局・在宅医療機関との連携があるかを確認。

③ 実習中のサポート体制が明確か

  • 教員によるフォロー面談
  • 実習レポートの丁寧な添削
  • 実習先との連携調整
  • トラブル時のサポート

実習内容が分かりやすく説明されている大学の例

特に以下の大学は、HP上で実習内容の説明が丁寧で、受験生にも分かりやすいと評判です。

  • 北里大学 薬学部:調剤やTDMなど具体的な実習内容を詳細に解説。
  • 星薬科大学:プレ実習・OSCE対策が体系的にまとめられている。
  • 慶應義塾大学 薬学部:実習先病院が多様で、臨床薬学教育が強い。

実習内容が“見える”大学は、教育の透明性が非常に高く、学生の不安を軽減する効果があります。


実習修了率を大学選びにどう生かすか?

実習がスムーズに進む大学=卒業・国家試験まで無理なく進める大学です。 以下の観点で大学を比較しましょう。

  • 実習修了率(80〜90%以上が安心)
  • CBT/OSCEの対策授業が充実しているか
  • 実習先の病院・薬局の数・種類
  • 卒業率・国家試験合格率の一貫性

偏差値ではなく“実習の質”で大学を選ぶのが、これからの薬学部選びのスタンダードです。


まとめ:薬学部は「実習の質」で選ぶ時代へ

薬学部の実務実習は、薬剤師になるための最重要ステップです。実習の質が高い大学を選べば、卒業しやすさ、国家試験の突破力、そして薬剤師としての基礎力が大きく変わります。

文科省の実習修了率、大学のCBT・OSCE対策、そして実習ページの分かりやすさは、大学選びに欠かせない指標です。

薬学部を志望する皆さんが、本当に成長できる大学を選び、未来の医療を支える薬剤師へと進む第一歩として、この情報を役立てていただければ幸いです。

薬学部への進学を考える受験生や保護者の皆さんにとって、最も気になるポイントの一つが「卒業して薬剤師になれるのか?」という点です。大学ごとの国家試験合格率はよく注目されますが、実はその前段階にある実務実習(病院実習・薬局実習)こそが最大のハードルであり、大学によって負担や難易度が大きく異なります。

文部科学省が2025年度に公表した最新データでは、各大学の実習修了率や進級状況が明らかになっており、「どの大学なら実習を無事に終えられるか」という視点での大学選びが重要になっています。

この記事では、文科省のデータと大学HPの実習内容をもとに、薬学部の実務実習の全体像と、大学選びで見ておきたいポイントを徹底解説します。

参考資料:
薬学部における修学状況等(2025年度)
薬学部6年制課程における退学状況等(2025年度)

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この記事を書いた人

めでぃゆに先生

・現役の大学職員。
・医学部教務部でカリキュラム調整、学生対応、入試関連業務などの担当
・文部科学省からの通知や制度変更に関する学内の対応にも携わってます。
・前職では現状や進路に悩む方々向けのカウンセリング業務に従事
・7年間で1,000名以上の進路指導

ブログを通じて、「新しい」そして「正しい」知識を皆さんに届けたいという思いから、情報発信を始めました。
現役の大学職員ならではの視点から、価値ある教育情報をお届けしていきます!

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