2025・2026年は看護学部新設ラッシュ|看護師の仕事・進路・向き不向きまで徹底解説

近年、日本では看護師不足の深刻化高齢化社会の進行を背景に、 医療・介護現場を支える人材育成が喫緊の課題となっています。

その流れを受け、大学による看護学部・看護学科の新設が全国で相次いでいます。 2025年・2026年は特に動きが活発で、「看護学部新設ラッシュ」と呼べる状況です。

この記事で分かること

  • 2025年度に実際に新設された看護学部(確定情報)
  • 2026年度に申請中の看護学部
  • 看護師の仕事と医療における立ち位置
  • 大学と専門学校の違い
  • 卒業後の進路・キャリア
  • 看護に向いている人・向いていない人
めでぃ男くん

看護師は私の中で医療現場の中心だと考えています

めでぃ男くん

ぜひ看護学部に興味ない人にも知ってほしいです!

目次

2025年度(4月)に新設された看護学部【確定版】

 2025年4月には以下の大学の看護学部が新設されました。また、文部科学省の資料も紹介させていただきます。

文部科学省 公式情報(根拠資料)
大学等の設置認可申請書類の公表
開設予定大学等一覧
※以下はいずれも設置認可を受け、2025年4月に開設されています。

大学名学部・学科所在地定員特徴
植草学園大学看護学部 看護学科千葉県千葉市80名国立病院機構千葉医療センター等と連携。実践重視。
下関市立大学看護学部 看護学科山口県下関市80名公立大学。下関市立病院と連携した地域医療教育。
別府大学看護学部 看護学科大分県別府市80名新校舎整備。県内医療機関との強固な実習体制。
神戸常盤大学看護学部 看護学科兵庫県神戸市非公表2025年より看護学部として新体制でスタート。

2026年度に申請中・予定の看護学部

大学名(仮称含む)学部・学科所在地特徴
西日本看護医療大学(仮称)看護学部福岡県地域医療・災害医療に重点
大阪医療大学(仮称)医療看護学部大阪府少人数制・ICT教育
近畿大学(仮称)看護学部大阪府医学部連携・保健師課程予定
日本医科大学医療健康科学部 看護学科神奈川県大学院併設・研究志向

※2026年度分は申請・構想段階のものを含み、今後変更の可能性があります。


そもそも看護師の仕事とは?医療の中での立ち位置

看護師は患者に最も近い医療専門職です。 医師の指示のもと動くだけでなく、患者の状態を継続的に観察し、 治療・ケア・生活支援・精神的サポートまで担います。

医療チームにおける看護師の役割

  • 患者の変化をいち早く察知し、医師に共有
  • 治療と生活をつなぐケア
  • 多職種との調整・連携
  • 在宅医療・地域医療の中心的存在

看護学部(大学)と看護専門学校の違いを徹底解説

看護師を目指す進路として、多くの受験生が迷うのが 「看護学部(4年制大学)」と「看護専門学校(主に3年制)」のどちらを選ぶべきか という点です。

どちらを選んでも看護師国家試験の受験資格は得られますが、 学びの内容・学生生活・卒業後のキャリアの広がりには明確な違いがあります。

結論から言うと
・「将来の選択肢を広く持ちたい」人は大学
・「早く現場で働きたい」人は専門学校

が向いている傾向があります。

学びの深さ・広さの違い

看護学部(大学)では、看護技術だけでなく、 「なぜその看護が必要なのか」を理論的・科学的に学びます。

  • 解剖学・生理学・病態生理学などの基礎医学
  • 看護理論、看護研究、統計学
  • 公衆衛生学、地域医療、在宅医療
  • 医療倫理、医療安全、多職種連携

一方、看護専門学校は「現場で使える技術」を短期間で身につけることに重点が置かれています。 実習時間が多く、早く医療現場に慣れたい人には適しています。

ポイント💡
大学:「考える看護」「応用できる看護」を学ぶ
専門学校:「すぐに動ける看護」を学ぶ


② 修業年限と学生生活の違い

看護大学は4年間、専門学校は3年間が一般的です。 この1年の差は、単なる期間以上の意味を持ちます。

  • 大学:一般教養(心理学・社会学・語学など)も学び、人間性や視野を広げる
  • 専門学校:カリキュラムが密で、課題・実習中心の生活

大学生活では、サークル活動や留学、ボランティアなどを経験する学生も多く、 「看護師+αの強み」を身につけることができます。


③ 取得できる資格・将来のキャリアの違い

この点は進路選択において非常に重要です。

項目看護学部(大学)看護専門学校
看護師国家試験
保健師受験資格〇(対応大学のみ)△(卒業後に進学が必要)
助産師受験資格〇(対応大学のみ)△(卒業後に進学が必要)
大学院進学×
教育・研究職

将来の可能性
大学卒業後は、看護師 → 管理職 → 教育者 → 研究者といった キャリアアップの道が現実的に開かれます。

④ 就職・評価・昇進への影響

就職時点では、大学卒と専門卒で大きな差が出ないケースも多いですが、 数年後以降に差が出ることがあります。

  • 主任・看護師長などの管理職
  • 看護教育担当・実習指導者
  • 地域医療・行政・企業(産業保健)

これらのポジションでは、「大卒以上」を条件とするケースも少なくありません。

⑤ 学費・経済面の違い

一般的に、大学の方が学費は高め、 専門学校は比較的抑えられる傾向があります。

  • 大学:4年間で約400〜700万円(私立の場合)
  • 専門学校:3年間で約300〜500万円

ただし、大学では奨学金・授業料減免・給付型制度が充実している場合もあり、 一概に「大学=高すぎる」とは言えません。

⑥ どちらを選ぶべきか|タイプ別おすすめ

看護大学が向いている人

  • 将来の進路を広く残しておきたい
  • 保健師・助産師・教育・研究に興味がある
  • 地域医療や政策にも関心がある

看護専門学校が向いている人

  • できるだけ早く看護師として働きたい
  • 学費・修業年限を抑えたい
  • 実践中心で学びたい

まとめ|「どちらが上」ではなく「どちらが自分に合うか」

看護学部(大学)と専門学校に、優劣はありません。 重要なのは、 「どんな看護師になりたいか」「将来どこまで見据えるか」です。

2025・2026年は看護学部の新設が相次ぎ、 大学進学という選択肢が広がっている時代です。 ぜひ、オープンキャンパスや説明会を活用し、 自分に合った進路を選んでください。

項目看護大学看護専門学校
修業年限4年3年が主
学び理論・研究・実践実践重視
資格保健師・助産師対応あり基本は看護師のみ
将来性進路の幅が広い早期就職向き
めでぃママ

個々の事情によってどっちがよいか変わりそうね、、!

卒業後の進路|看護師のキャリアは想像以上に多様

「看護師=病院で一生働く仕事」と思われがちですが、 実際には卒業後の進路・働き方・キャリアの広がりは年々多様化しています。

特に大学で看護を学んだ場合は、 臨床現場にとどまらず、教育・研究・行政・企業など、 医療の枠を超えたキャリア形成も可能です。

ポイント
看護師は「資格で縛られる仕事」ではなく、「資格を軸にキャリアを広げられる仕事」です。


① 病院・クリニックで働く(最も一般的な進路)

多くの卒業生がまず進むのが、病院・クリニックの看護師です。

  • 急性期病院:救急・手術・集中治療(ICU)など、専門性が高い
  • 慢性期・回復期病院:高齢者や長期療養患者へのケアが中心
  • 診療所・クリニック:外来中心で夜勤が少ない

新卒のうちは急性期病院で基礎的な看護技術・判断力を身につけ、 数年後に働き方を見直すケースも多く見られます。


② 在宅医療・訪問看護という成長分野

高齢化の進展により、在宅医療・訪問看護は今後さらに需要が高まる分野です。

  • 患者の自宅を訪問し、医療処置・生活支援を行う
  • 医師・ケアマネジャー・ヘルパーとの連携が重要
  • 病院よりも看護師の判断力・責任が求められる

経験を積んだ看護師が転職するケースが多く、 ライフステージに合わせた働き方がしやすい点も魅力です。


③ 保健師・助産師として働く

大学の看護学部で対応課程を修了すると、 保健師・助産師の国家試験受験資格を得られる場合があります。

保健師

  • 自治体(市町村・保健所)
  • 企業(産業保健師)
  • 学校(養護教諭と連携)

予防医療・健康支援を担い、夜勤がないケースが多いのが特徴です。

助産師

  • 産婦人科病院・クリニック
  • 助産院

妊娠・出産・育児に深く関わる専門職で、 高度な専門性とやりがいがあります。


④ 管理職・専門看護師・認定看護師へ

臨床経験を積むことで、キャリアアップも可能です。

  • 主任看護師・看護師長などの管理職
  • 認定看護師(感染管理、緩和ケアなど)
  • 専門看護師(がん看護、精神看護など)

これらは、専門性の高さ・給与水準の向上にもつながります。


⑤ 教育・研究・大学院進学という道

看護大学卒業後は、大学院に進学し、 教育・研究の道に進むこともできます。

  • 大学・専門学校の看護教員
  • 看護学研究者
  • 医療系大学の教育スタッフ

「次世代の看護師を育てる」立場として活躍できるのは、 大学教育を受けた人ならではの進路です。


⑥ 行政・企業・医療業界で活躍する

看護師資格を活かし、医療現場以外で働く人も増えています。

  • 医療行政(自治体・国の関連機関)
  • 医療機器・製薬企業
  • 医療系IT・ヘルスケア企業
  • 治験コーディネーター(CRC)

臨床経験+看護知識を活かした「橋渡し役」として重宝されます。


⑦ ライフイベントと両立しやすい職業

看護師は、結婚・出産・育児・介護など ライフイベントと両立しやすい数少ない専門職でもあります。

  • 非常勤・パート・夜勤専従
  • 訪問看護・クリニック勤務
  • ブランク後の復職支援制度

働き方を柔軟に変えながら、 資格を一生使える点は大きな魅力です。


まとめ|看護師は「一生同じ働き方」ではない

看護師のキャリアは、病院勤務で終わるものではありません

大学・専門学校いずれを選んでも、 経験と選択次第で働く場所・役割・生き方を変えられます。

進学先を選ぶ際は、「卒業後10年後の自分」を想像しながら、 大学か専門学校か、新設校か既存校かを検討することが大切です。

看護に向いている人・向いていない人|後悔しないための現実的な判断基準

看護師は「人の役に立つ仕事」「安定した職業」というイメージから、 なんとなく志望されやすい医療職でもあります。

しかし実際には、体力・精神力・責任感が強く求められる仕事であり、 向き・不向きの差が比較的はっきり出やすい職業でもあります。

重要な考え方
「向いていない=ダメ」ではありません。
自分の特性を知り、ミスマッチを避けることが何より大切です。


① 看護に向いている人の特徴

1. 人と関わることが苦にならない

看護師は、患者・家族・医師・他職種など、 一日に何十人もの人と関わる仕事です。

  • 初対面の人とも最低限の会話ができる
  • 相手の立場を想像しようとする姿勢がある
  • 感情的になりすぎず、冷静に対応できる

「おしゃべり上手」である必要はありませんが、 人と関わることを完全に避けたい人には厳しい仕事です。


2. 責任感があり、ルールを守れる

看護師の仕事は、人の命・安全に直結します。

  • 時間・手順・報告をきちんと守れる
  • ミスを隠さず報告できる
  • 「まあいいか」で済ませない

真面目さ・几帳面さは、看護師にとって大きな強みです。


3. 体力・気力がある(または鍛える覚悟がある)

看護師の仕事は、想像以上に体力勝負です。

  • 夜勤・不規則勤務
  • 長時間の立ち仕事
  • 患者の移動・介助

「体力に自信がない=無理」ではありませんが、 体力をつける努力をする覚悟は必要です。


4. 気持ちの切り替えができる

医療現場では、感謝される場面と同時に、 厳しい言葉を向けられる場面もあります。

  • 失敗や注意を引きずりすぎない
  • 仕事とプライベートを切り分けられる
  • 気持ちを立て直す術を持っている

完璧である必要はありませんが、 感情を抱え込みすぎない工夫が重要です。


5. 学び続ける意欲がある

看護師は、資格を取って終わりの仕事ではありません

  • 医療制度・薬・治療法は常に変化
  • 院内研修・勉強会が多い
  • 自己学習が求められる

「勉強は苦手だけど資格だけ欲しい」という動機だと、 入学後・就職後につらくなる可能性があります。


② 看護に向いていない可能性がある人の特徴

1. 人と関わる仕事を極力避けたい

看護師は対人ストレスが避けられない職業です。

  • 人と話すだけで強い疲労を感じる
  • 感情の起伏が激しく、衝突しやすい
  • クレーム対応が極端に苦手

このタイプの人は、別の医療職(検査・技術系)を検討するのも一案です。


2. 不規則な生活・夜勤がどうしても無理

看護師の多くは、夜勤を含むシフト勤務です。

  • 生活リズムが崩れると体調を大きく崩す
  • 睡眠不足に極端に弱い

将来的に外来・クリニック・保健師など 夜勤のない働き方もありますが、 新卒直後は夜勤が避けられないケースが多い点は理解が必要です。


3. プレッシャーに弱く、失敗を引きずりやすい

医療現場では、失敗を完全にゼロにすることはできません。

  • 注意されると極端に落ち込む
  • 失敗を何日も引きずる
  • 自分を強く責め続けてしまう

メンタルのセルフケアが苦手な人は、 早めに相談できる環境があるかも重要な判断材料です。


4. 「安定していそう」という理由だけで志望している

看護師は確かに就職に強い資格ですが、 楽な仕事ではありません

「とりあえず資格が欲しい」「親に勧められたから」という理由だけだと、 入学後・実習・就職後につらくなるケースが多く見られます。


③ ミスマッチを防ぐために今できること

  • オープンキャンパスで在学生の声を聞く
  • 実習の大変さ・国家試験の勉強量を確認
  • 可能なら看護体験・職業体験に参加
  • 「10年後の自分」を想像して進路を考える

看護学部新設ラッシュの今こそ、 「入りやすさ」だけでなく 「自分に合うかどうか」を冷静に考えることが重要です。


まとめ|向き・不向きを知ることは、逃げではなく戦略

看護に向いているかどうかを考えることは、 夢を諦めるためではなく、後悔しない選択をするためです。

自分の特性を理解したうえで看護の道を選べば、 長く、誇りを持って働ける仕事になります。


まとめ|看護学部新設ラッシュは進路選択の好機

2025・2026年は、看護学部志望者にとって選択肢が大きく広がる時代です。

一方で、新設校・既存校、大学・専門学校によって学びや将来像は大きく異なります。 文部科学省の公式情報を確認しながら、 自分に合った進路を選びましょう!

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この記事を書いた人

めでぃゆに先生

・現役の大学職員。
・医学部教務部でカリキュラム調整、学生対応、入試関連業務などの担当
・文部科学省からの通知や制度変更に関する学内の対応にも携わってます。
・前職では現状や進路に悩む方々向けのカウンセリング業務に従事
・7年間で1,000名以上の進路指導

ブログを通じて、「新しい」そして「正しい」知識を皆さんに届けたいという思いから、情報発信を始めました。
現役の大学職員ならではの視点から、価値ある教育情報をお届けしていきます!

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